こんばんわ、うぃむです。
先日、所属しているCWLSで怪談の話があったので、私が実際に体験した怪談です。
本編
ある山の中腹に、夜になるとヤンチャな方たちが集まる場所がありました。
駐車場の一角には、古びた時代を感じさせる色々な種類の自販機が並んでいる、不思議な場所です。
その駐車場から少し離れた一角の藪の中に、まるで捨てられた様に置かれている、ボロボロの公衆電話があります。公衆電話といっても、見慣れない黒い電話が置かれていました。実はこの電話、地元では「出る」ことで有名な、“おばけ電話”と呼ばれているものです。
ある夜、友人と数人でその駐車場へ行ったときのことです。
普段なら人影があるはずなのに、その夜に限ってほとんど誰もいません。そんな中、雑談をしていると、肝試しの空気になり、話題はその"おばけ電話"へ。。。
誰が掛けるかで押し付け合いになった末、結局、私が受話器を取ることになりました・・・。
恐る恐る受話器を手にとって耳に当てると、まだ番号も押していないはずなのに「プルルルル…」と呼び出しの音が鳴り出しているのです。
(えっ?)と思い固まっていると、ガチャと繋がりました。電話の先からはなにか、ガサガサするような音が微かに聞こえてくるだけでした。少しすると、突然なにか声にならないようなかすかな女性の声が聞こえてきました。。。
そして、私は、血の気が引き、慌てて電話を切り、その場から離れようとしました。
しかし、その直後に背後の電話機から「ジリリリリリ……! 」と大きな呼び出し音が鳴り響いたのです。
混乱しつつも、恐る恐る受話器を取ると、今度ははっきりと、冷たい細い女性の声がしました。
――「すぐ行きます……」
その瞬間に電話を切り、友人とともに逃げていきました。
おしまい
後日談
あの夜の体験を、後日職場の先輩に話しました。
「山の中腹の自販機のとこで……藪の中のボロボロの電話から“すぐ行きます”って声がして、全員で逃げたんですよ!」
先輩は一瞬キョトンとしたあと、肩をすくめてこう言ったんです。
「……あれ、タクシー呼ぶ電話だよ」
まさかの一言でした。
観光地の移動で使えるように、昔から設置されていたタクシー直通電話だそうです。
つまり、最初の応答も深夜におこされて...「すぐ行きます」も、普通の対応だったわけです。
さらに聞けば、地元では昔から「あの電話にかけると幽霊が出る」という噂がありましたが――
実際は、誰かが“それっぽい電話”だったので、イタズラで広めたのが発端だったらしいのです。
とにかく、タクシー会社の方、申し訳ありませんでした。